伊賀川の改修工事

 前回に引き続き岡崎市に出した意見です。すこしでも美しい伊賀川を将来に残していきたいです。

 平成20年の豪雨で伊賀川が氾濫し2名の方が亡くなりました。それを受け現在では床上浸水対策緊急特別事業で伊賀川の治水工事が行われています。
 集中豪雨により水かさが増し、アスファルトで固められた道路では雨が浸透できず、伊賀川へと集まり被害を大きくしたと伺いました。このような水害に対して岡崎市として懸命な治水政策を採っていただきたいと願っています。
 さて、伊賀川の桜のつぼみもだんだんとふくらみ始め、今年もまた美しい伊賀川の桜並木で花見をすることを待ち遠しく感じている今日この頃です。しかしこの護岸工事が始まれば、伊賀八幡から稲熊橋の手前までの間で約40パーセント以上もの桜の木が伐採されてしまうと伺いました。この区間の伊賀川の美しい桜並木も今年が最後かと思うと、非常に残念です。この桜並木はこの地域の、さらには岡崎市の美しい景観としてかけがえの無い財産ではないかと思います。私は子供時代この伊賀川の桜並木のきれいな桜の花を毎年見て育ってきました。この伊賀川の桜は私にとってはとても大切な故郷の景色です。この景色を私は自分の子供たちにも見せてあげたいし、岡崎市の将来の子供たちにも残してあげたいと強く思います。このように感じている市民は非常に多いのではないでしょうか?桜だけではなく、伊賀川自体に思い入れと、愛着を持った岡崎市民も少なくないはずです。
 私が言いたいことは、桜を残して、伊賀川の氾濫危険を無視しろというものではもちろんありません。川の治水はとても大切です。しかし治水は単に川床を掘って、護岸をコンクリートブロックで固めるというやり方だけではなく、川上、つまり森を整備し雨を地下に浸透させて、一度に川へどっと流さないようにすることが根本的な対策だと思います。さらに道路わきや歩道ではアスファルトで一面を覆ってしまうのではなく、雨水が地下に浸透できるようにすることも重要です。このような対策はすぐにはできず、緊急に改善しないといけないようですが、川の工事を最小限にとどめて緊急事態として周辺住民の協力と説明をすることで対応することができるのではないでしょうか?川を一度コンクリート張りにしてしまうと、環境に与える影響は大きく、もちろん景観上も大いに問題になります。さらに今回は環境アセスメントはまったく行われておらず、今伊賀川とその周辺に生息している動植物は甚大な影響を受けます。世界の河川の治水工法は自然に近い形で行われるのが主流になってきていると聞きます。もし伊賀川を一度コンクリート張りにし、それを近自然型にするようなことがあれば、環境に大きな負荷をかけるのみでなく、予算も無駄に使われることになります。(今回の工事もどういうわけか、整備計画河床と将来計画河床なるものがあり、現在の工事が行われているにもかかわらず、次の工事の計画があります。もう一度工事をして環境に付加を与え、予算を使うということでしょうか?少なくとも時間がかかっても一度に工事すべきです。)以下その他の問題点を書きます。
・コンクリートブロックで固めることによって、現在の川岸の緑地は失われます。
・計画されているブロック護岸は角度が急なため、特に子供たちには危険です。
・いまでは川岸で子供たちが自然に触れ合うことができますが、急なコンクリートの壁はその可能性を奪います。(住居地や都市部でのこうした自然に近い緑地や川での遊び場は今後どんどんその重要性を増していきます。)
・コンクリート張りにすると、今まで浸透していた川岸の部分の雨水も下流へと一度に流れ出ることになります。周辺の地下水の低下とそれによる植物への影響が考えられます。
・根本的、総合的な対策を採らず、今のような場当たり的な対策では「想定外の」集中豪雨の時にさらに被害は甚大なものになるでしょう。
岡崎市の美しい名所がひとつ消え、市民の地元に対する愛着や誇りの念が薄れていく。これは岡崎市の魅力の低下につながります。等

 この1級河川である伊賀川の治水担当と責任は県にありますが、伊賀川は岡崎市の敷地内にあり、その川岸には美しい桜並木や動植物が生息しています。ですので伊賀川周辺の環境を整備していくことは岡崎市民の願いであり、この願いは岡崎市が十分に自覚し対応していってもらいたいと思います。そのためには県からの計画ありきでは無く、住民と初めから対話していく中で、岡崎市全体の意見・要望として、強く県(西三河建設事務所 河川港湾整備課)に求めていかなけらばならないと思います。県の担当課の興味は地元の市民の満足する伊賀川作りではなく、法に定められた治水工事です。これはある程度仕方ないと思いますが、私たち岡崎市民の要望は岡崎市が積極的に伝えるべきです。そのためには住民参加で合意を形成していかなければならないと思います。
 
 長くなりましたが、まだ改修工事は終わっていません。今ならまだ間に合うと思います。どうか将来の岡崎市民のためにも岡崎市民が誇りを持てるような伊賀川作りをして下さい。市長が言っておられるように、「人、水、緑が輝く活気に満ちた美しい都市 岡崎」をめざして取り組んでいただくことを心から願っています。よろしくお願いします。

この要望書を受けて、市の職員の方説明に来てくれました。住民からの強い意見が無いとどうしようもない、ということをおっしゃっていました。
より良い伊賀川を残していくために、たくさんの方からの意見を募集しています。

 

Facebook『伊賀川と住民の会』というグループをつくりました。そちらもご覧ください。