スラーデックさんのメッセージ

 EWS(シェーナウ電力会社)のスラーデックさんに頂いたメッセージをこちらに掲載します。
 鹿児島の”みんなのでんき”(http://www.facebook.com/Minnanodenki)のメンバーが、
 『どうしてスラーデックさんは子どもが5人もいたのに当時そんなに頑張れたんですか?』ということを是非聞いて来てください。というのがきっかけで質問しました。たくさんの方にも読んでもらいたいと思いこちらにも掲載します。

   _以下スラーデックさんからのメッセージ_

親愛なる日本のみなさんへ
 原子力発電所を長きにわたって保持しないでください。そうではなく全力で原発を阻止してください。日本は再生可能エネルギーで100%まかなっていけます。すぐには達成せきませんが、もしたくさんの人たちが確固たる信念をもって進んでいけば、この目標は実現できます。日本でも原発も石炭も使用しないエネルギー供給は可能です。この事は既に2003年のグリーンピースによる研究によって示されています。この目標に向かって自分の責任を果たしていくことはやりがいのある仕事です。私たちの子ども、孫、そして次の世代の子どもたちはそんな私たちにきっと感謝してくれることでしょう!
 25年前のチェルノブイリ原発事故から今まで、私は子どもたちからたくさんの力をもらいました。以前私は、5人の子どもを生むなんて考えなかったですし、そしてその子どもたちが生きていかなければならない世界がどうなっていくのかということに関心はありませんでした。―チェルノブイリ原発事故が起こるまで私は主婦で子どもたちのためにたくさんの時間を割くことができました。事故後はその時間が少なくなってしまいました。しかし、それが子どもたちにとって悪かったとは思いません。彼らはむしろ自立の心を養い、私たち両親から彼らの人生にとって大切な何かを学んでくれました。その大切なものとは、『どんな人でも何かを変える力を持っているものだ。同じ想いを持った人たちと一緒にことを起こせばそれだけその力は強くなる。』ということです。

心を込めて
ウルズラ・スラーデック

エネルギー公社

 今日はドイツのエネルギー公社について説明します。自治体が出資して作る会社で、電気・ガス・水の供給などをしています。日本ではエネルギー公社という言葉は耳慣れませんが、いったい何をしている所なのでしょうか?先ずは日本の例を見てみましょう。日本の水の供給のことを思い浮かべてください。上水道のサービスは地方自治体の水道局が行っていますね。これらの水道局は地方公営企業と呼ばれ、公共のサービスのために地方公共団体が経営しています。水道だけではなく交通、観光、ガス事業、さらには発電事業も地方公営企業として地方公共団体が経営している場合があります。例えば熊本県企業局(地方公営企業)では発電事業(水力発電所7か所、風力発電所1か所)、工業用水道事業、駐車場事業を行っています。金沢市では全国唯一の市営の電気事業者として金沢市企業局があり、この企業局では発電事業の他にガス・水道・工業用水・下水道事業にも取り組んでいます。
 さてドイツの公社ですが、様々な形があります。自治体が100%出資するもの、自治体と企業が出資する第3セクターのようなもの、複数の自治体と企業が出資するものまであります。組織形態としては株式会社や有限会社といった形を取ることがほとんどです。これらの公社は地方公共団体に暮らす住民に、“生活するのに必要なものを確実に”提供することを目的に事業を行っています。この公共サービスの内容はそれぞれの公社によって異なっていますが、主に電気(発電、送配電、売電)・ガス・水道事業です。その他にも交通・駐車場・通信事業などを経営しています。ここではエネルギーのことに焦点を当てていますのでドイツのこれらの公社のことをエネルギー公社と呼ぶことにします。日本にもこのようエネルギーを供給する公社があります。札幌市が銀行や電力会社などと共に出資する(株)札幌エネルギー供給公社は1986年に設立された公社です。この公社は、省エネと経済性のある安定したエネルギー供給をめざし、そして環境保全にも効果的な地域熱供給をしています。札幌駅北口の再開発地区22haにあるオフィスビル、商業施設、学校などに温水と冷水を供給しています。ドイツの公社のように電気は扱っておらず、熱だけの供給ですが、この札幌の会社もドイツのエネルギー公社の仲間に入れることができると思います。
 ドイツのエネルギー公社の例を見てみましょう。まずは自治体が100%出資しているシュベービッシュ・ハル エネルギー公社です。この公社があるシュヴェービッシュ・ハル市はバーデン・ヴュルテンベルク州にあり州都シュトュットガルト市から北東に約50kmの場所にあります。このエネルギー公社は約40年前の1971年から有限責任会社として、自治体100%出資の、歴史がある、環境に配慮したエネルギー公社としてドイツ国内でも評価の高い公社です。従業員数は2012年現在約480人ですが、この10年間で2倍になりました。シュベービッシュ・ハル エネルギー公社はシュヴェービッシュ・ハル市以外にも14の自治体の電力網を所有し電気を配電しています。
 同公社の目標は100%再生可能エネルギーで地域の電力と熱を生産することです。環境に配慮したエネルギー供給を地域住民に提供することを自らの責務とし、地域に根ざしたエネルギー公社としてこの目標に至る最善の道を模索しています。

 この様なエネルギー公社による電気の配電・販売が出来るのは、ドイツでは電力市場の自由化がなされているからですが、日本では今の現況ではドイツのように、各家庭に電気を販売することは出来ません。しかし日本でも福島原発事故後やっと家庭部門での電力自由化が本格的に議論され、数年後には家庭も電力会社が選べるようになっていくようです。生活するのに必要なもの(電気)を確実に供給してくれる、自治体によるエネルギー公社の実現も日本でもそう遠くないのかもしれません。このような公社設立が可能な機会を私たちは手にしないといけないのではないでしょうか?そのためには電力の自由化が前進するように私たち一人一人が声をあげていく(要望を伝えていく)必要があると思います。
 次回はドイツのエネルギー公社の例として複数の自治体とガス会社が共同出資をしているバーデノバエネルギー公社の紹介をします。

鹿児島県 シェーナウの想い上映会のおしらせ

7月初めに連続して映画シェーナウの想いの上映会があります。まだ見られていない方、もっと色々電力についてお話ししたいという方是非ご参加ください。私は7月4日の上映会に参加します。

*7月1日 鹿児島県溝辺町
  時間:9時〜田んぼに合鴨の放鳥
     10時〜上映会
     「シュエーナウの想い」
     「フクシマの真実と内部被爆
  場所:溝辺町竹子の民家
  連絡先:090-9364-6756
      yasumin.tabomin@gmail.com(郡山)

*7月2日(月)鹿児島県加治木
  時間:11時〜上映会
  場所:加治木の民家
  連絡先:090-9364-6756
      yasumin.tabomin@gmail.com(郡山)
*7月4日(水)鹿児島県 鹿児島市
  時間:18時30〜20時30
  場所:かごしま環境未来館2階 多目的ホール
   ( 鹿児島市城西2-1-5)
  資料代:300円(予約不要)
  主催:NPO法人かごしま市民環境会議
  連絡先:080-8259-7487
  ゲスト:八木正さん(鹿児島国際大学)、及川斉志(映画翻訳者)

  住民のための電気とは?
  九州電力計画停電の概要を発表しましたが、その内容とは?など
  上映終了後ゲストの方々とお話しします。

鹿児島県民のみなさん、鹿児島県付近のみなさん、時間があれば是非エネルギーについて一緒に考えましょう!!

シェーナウ電力会社(EWS)の最近

 シェーナウ電力会社(EWS)はこのブログでも何度か紹介していますが、ドイツの住民がつくってしまった電力会社です。今回はこのEWSの最近の活動についてご紹介します。EWSは最近、自治体のエネルギー公社と協力して、住民参加による電力の供給を始めようとしています。さらにEWSは住民による環境にやさしい発電施設(風力など)の建設をサポートしいこうと、自治体や、エネルギー公社と共同で発電施設の建設を手掛けようとしています。
 ヨーロッパの中ではドイツの電力会社事情が日本の事情と似ていたそうで、ドイツが日本のお手本になると言われています。しかし大きく違う点の一つは自治体ごとの認可契約というものにあります。電力市場の自由化前までは、それぞれの自治体が電力会社と契約して自治体内の電力供給を任せていたのです。この電力会社には大きく2通りあって、1つは地域独占の電力会社、もう1つは自治体が出資するエネルギー公社です。この認可契約は20年までと決まっていましたが、大抵の場合は20年契約でした。自治体と認可契約を結んだ電力会社は、その自治体の電力網を以前の電力会社から引き継ぎます(買い取る)。
 90年代から、自治体がそれまで認可契約を与えてきた地域独占電力会社から、自分たちの手に(自治体のエネルギー公社)電力網を取り戻そうとする動きが広がっています。2011年から2015年までの間にはドイツでは約1000もの自治体で認可契約が切れるそうです。ベルリンやハンブルクなどの大都市でも数年後に認可契約が切れるので、それに向けて、住民グループが、住民のための、環境に配慮したエネルギー供給を実現しようと電力網の買い取りを視野に入れて動いています。2014年に認可契約が切れるドイツの首都ベルリンでは、住民エネルギー協同組合・ベルリンが結成されてこの計画を進めようと企んでいます。2015年に認可契約が切れるハンブルクでは2013年9月に住民投票が決まっており、シュトゥットガルトではもっと具体的に話が進んでいます。2013年に認可契約が切れる同市では、2011年にシュトゥットガルト市エネルギー公社が設立されて電力網の買い戻しが計画されています。(ドイツで3番目に大きいミュンヘン市では以前からミュンヘン市エネルギー公社が電気を供給しています。)
 EWSはシュトゥットガルト市エネルギー公社のパートナーとしてエコ電力の供給を支援します 。ティティゼー・ノイシュタット市では2011年に認可契約が切れ、2012年5月4日から独自の電力供給を始めています。EWSは同市と協力して、ティティゼー・ノイシュタット電力供給会社(EVTN)設立を支援しました。重要な点は、エネルギー協同組合:Vita Bürger Energie(住民グループ)がEVTNに出資して会社の電力事業に関わっていることです。出資額は市60%、EWSが30%(始め40%。後に住民エネルギ協同組合に10%を提供)、住民エネルギー協同組合が10%。
 これまでEWSは独自の発電施設は所有していませんでしたが、これからは発電施設の設置も進めていこうとしています。もちろん住民参加でです。EWSの広告塔ミヒャエル・スラーデックさんはこう言います。「私たちは風力パークを買い取るなんて考えていません。ただ住民と一緒に風力パークの建設に参加しようとしているんです 。」チェルノブイリ原発事故後の住民活動をその原点に持つEWSは、このように住民の側に立った、住民にも利益を分配できるような形での発電施設の建設をしていこうとしているのです。
 シェーナウ市のあるバーデン・ブルテンベルク州、レーラッハ郡では、3自治体が共同で、風力発電パークの建設計画をしています。EWSはこの計画のパートナーとして3自治体から指名されました。もちろん、住民がその恩恵に預かれるような住民参加による風力発電パークを建てようとしています。住民は住民協同組合の一員としてこの事業に参加するという計画です。
 最後に以前のブログでも紹介した、ウルズラ・スラーデックさんが私に語ってくれたことばを引用します。「電力供給という事業は全ての人に関係することです。でもどうして私たちの社会のほんの一部の人だけがそこから利益を得ているのでしょうか?どうして全ての人が、もちろん少ないかもしれませんが、そこから恩恵を得られないのでしょうか?」

参照:
Wir sind der Daimler auf dem Markt für Ökostrom
バーデン新聞 (Elektrizitätswerke Schönau: Die Stromrebellen erfinden sich neu)

伊賀川の改修工事

 前回に引き続き岡崎市に出した意見です。すこしでも美しい伊賀川を将来に残していきたいです。

 平成20年の豪雨で伊賀川が氾濫し2名の方が亡くなりました。それを受け現在では床上浸水対策緊急特別事業で伊賀川の治水工事が行われています。
 集中豪雨により水かさが増し、アスファルトで固められた道路では雨が浸透できず、伊賀川へと集まり被害を大きくしたと伺いました。このような水害に対して岡崎市として懸命な治水政策を採っていただきたいと願っています。
 さて、伊賀川の桜のつぼみもだんだんとふくらみ始め、今年もまた美しい伊賀川の桜並木で花見をすることを待ち遠しく感じている今日この頃です。しかしこの護岸工事が始まれば、伊賀八幡から稲熊橋の手前までの間で約40パーセント以上もの桜の木が伐採されてしまうと伺いました。この区間の伊賀川の美しい桜並木も今年が最後かと思うと、非常に残念です。この桜並木はこの地域の、さらには岡崎市の美しい景観としてかけがえの無い財産ではないかと思います。私は子供時代この伊賀川の桜並木のきれいな桜の花を毎年見て育ってきました。この伊賀川の桜は私にとってはとても大切な故郷の景色です。この景色を私は自分の子供たちにも見せてあげたいし、岡崎市の将来の子供たちにも残してあげたいと強く思います。このように感じている市民は非常に多いのではないでしょうか?桜だけではなく、伊賀川自体に思い入れと、愛着を持った岡崎市民も少なくないはずです。
 私が言いたいことは、桜を残して、伊賀川の氾濫危険を無視しろというものではもちろんありません。川の治水はとても大切です。しかし治水は単に川床を掘って、護岸をコンクリートブロックで固めるというやり方だけではなく、川上、つまり森を整備し雨を地下に浸透させて、一度に川へどっと流さないようにすることが根本的な対策だと思います。さらに道路わきや歩道ではアスファルトで一面を覆ってしまうのではなく、雨水が地下に浸透できるようにすることも重要です。このような対策はすぐにはできず、緊急に改善しないといけないようですが、川の工事を最小限にとどめて緊急事態として周辺住民の協力と説明をすることで対応することができるのではないでしょうか?川を一度コンクリート張りにしてしまうと、環境に与える影響は大きく、もちろん景観上も大いに問題になります。さらに今回は環境アセスメントはまったく行われておらず、今伊賀川とその周辺に生息している動植物は甚大な影響を受けます。世界の河川の治水工法は自然に近い形で行われるのが主流になってきていると聞きます。もし伊賀川を一度コンクリート張りにし、それを近自然型にするようなことがあれば、環境に大きな負荷をかけるのみでなく、予算も無駄に使われることになります。(今回の工事もどういうわけか、整備計画河床と将来計画河床なるものがあり、現在の工事が行われているにもかかわらず、次の工事の計画があります。もう一度工事をして環境に付加を与え、予算を使うということでしょうか?少なくとも時間がかかっても一度に工事すべきです。)以下その他の問題点を書きます。
・コンクリートブロックで固めることによって、現在の川岸の緑地は失われます。
・計画されているブロック護岸は角度が急なため、特に子供たちには危険です。
・いまでは川岸で子供たちが自然に触れ合うことができますが、急なコンクリートの壁はその可能性を奪います。(住居地や都市部でのこうした自然に近い緑地や川での遊び場は今後どんどんその重要性を増していきます。)
・コンクリート張りにすると、今まで浸透していた川岸の部分の雨水も下流へと一度に流れ出ることになります。周辺の地下水の低下とそれによる植物への影響が考えられます。
・根本的、総合的な対策を採らず、今のような場当たり的な対策では「想定外の」集中豪雨の時にさらに被害は甚大なものになるでしょう。
岡崎市の美しい名所がひとつ消え、市民の地元に対する愛着や誇りの念が薄れていく。これは岡崎市の魅力の低下につながります。等

 この1級河川である伊賀川の治水担当と責任は県にありますが、伊賀川は岡崎市の敷地内にあり、その川岸には美しい桜並木や動植物が生息しています。ですので伊賀川周辺の環境を整備していくことは岡崎市民の願いであり、この願いは岡崎市が十分に自覚し対応していってもらいたいと思います。そのためには県からの計画ありきでは無く、住民と初めから対話していく中で、岡崎市全体の意見・要望として、強く県(西三河建設事務所 河川港湾整備課)に求めていかなけらばならないと思います。県の担当課の興味は地元の市民の満足する伊賀川作りではなく、法に定められた治水工事です。これはある程度仕方ないと思いますが、私たち岡崎市民の要望は岡崎市が積極的に伝えるべきです。そのためには住民参加で合意を形成していかなければならないと思います。
 
 長くなりましたが、まだ改修工事は終わっていません。今ならまだ間に合うと思います。どうか将来の岡崎市民のためにも岡崎市民が誇りを持てるような伊賀川作りをして下さい。市長が言っておられるように、「人、水、緑が輝く活気に満ちた美しい都市 岡崎」をめざして取り組んでいただくことを心から願っています。よろしくお願いします。

この要望書を受けて、市の職員の方説明に来てくれました。住民からの強い意見が無いとどうしようもない、ということをおっしゃっていました。
より良い伊賀川を残していくために、たくさんの方からの意見を募集しています。

 

Facebook『伊賀川と住民の会』というグループをつくりました。そちらもご覧ください。


 

シンポジウム「再生可能エネルギーと地域づくりを考える」の報告

 3月24日に徳島県佐那河内村で行われたシンポジウムに参加してきました。2001年に行われた吉野川の河口堰反対運動や、ダム建設反対運動など住民運動が活発な徳島で、再生可能エネルギー自治体で、そして住民参加でやっていこう!という動きがあります。このシンポジウムの主催者は「佐那河内村」と「徳島再生可能エネルギー協議会」で、徳島の市民グループ「市民がつくるエネルギー」が共催しました。以下簡単に当日の様子を報告します。
 先ず、高知県梼原町の矢野町長が梼原町の概要を説明してくれました。めまぐるしいく変わっていく現代には根底にすえるビジョンが大切であり、それを町民のみんなで協力して作り上げた。それは、人と自然が共生し循環社会に生きる中で、人と人との「絆」を大切にする、というものです。町の面積の90%が森林で、林業の再生が課題。風力発電機2基(600kW×2)を設置し、その利益を間伐や再生可能エネルギーの導入に使う。など、先進的な取り組み、自治活動を報告していただきました。
 そして東京都職員の谷口信雄さんが地域における再生可能エネルギー可能性について講演してくれました。地域が潤う再生可能エネルギーとは?それにはどうしたらいいのか?ということをわかりやすく説明してくれました。自然エネルギーは東京などに本社がある大企業のものではなく、そのエネルギーが降り注ぐその地域の住民が優先的に活用できるものだ。つまり地域自治体もしくは住民が出資し、地銀が融資をし、(足りない資金は都市部から調達し)設備を建て、その利益が地方に落ちなければいけない。例として北海道の寿都町と秋田の風の大国を挙げていました。田舎の小さな自治体には資金力が無いかもしれないが、ファンドを作って、その年利の1%をその地域の農産物にすれば良いのでは?という非常に面白いアイデアも話されていました。そうすれば都市部の人は安心な農作物を手に入れられ、農村部ではその分の固定された売り手(収入)を確保できます。
 講演の最後にウィンドコネクトの斉藤純夫さんが、具体的な風力発電の事例を話してくれました。今年7月から始まる固定価格買取制度の意義とその経済的魅力を説明し、大企業ではなく地元が手がけるべきだと主張されていました。風力で失敗している例はたくさんあるが、それは補助金目当てにただ「立てること」に重点を置いたもので、故障せず、発電量を稼ぐことに全力を尽くしたところは成功している。そして立てる前の調査こそが大切で、そこで成否が決まってしまう。地方の事業を成功させるためには、地銀や信託銀行が、地域主導のプロジェクトに融資していかなければいけないとおっしゃっていました。
 講演の後この地域の町村長(佐那河内村町、上勝町神山町、(勝浦町長は急用で退席))と講演者の梼原町長、谷口さん(パナルデスカッションの進行役)、斉藤さんでパネルディスカッションが行われました。そのなかでこの地域の風力発電施設の計画と今後の可能性について話がされ、各町長は具体的な質問などをし、それに対して谷口さん、斉藤さんや梼原町長から回答がありました。
 以上約3時間のシンポジウムでしたが非常に内容の濃いものでした。日本の中でもここ行われようとしていることは最先端でとても興味深い計画だと思いました。これからはどんどんこのような自治体が現れてくると思いますが、自治体に限らず住民のグループや農家のグループ主導の再生可能エネルギーが普及していくことと思います。ドイツではまさに住民が再生可能エネルギーに自ら投資し、自分たちの設備から出る電力や熱を売って利益を上げ、収益を得ています。このように、地域の自然エネルギーはその地域経済を潤し、地域の持続可能な社会を構築していきます。(大企業の設備であればその収益はその大企業がある都市部へ流れ出てしまう。)
 今後はこの地域の各団体が住民を交えて自然エネルギーの可能性について話し合っていくようです。その動向を見守ると共に、心から応援していきたいと思います。
 補足:会場から意見として、「風車の建設ありきで話が進んでいるが、風力発電機を立てることによる環境破壊、自然破壊も考える必要があるのでは無いでしょうか?」ということがありました。このことは真剣に考えていかないといけないと思います。そして原発再生可能エネルギーに置き換えるというのではなく、先ずは『節電』をし必要でない電気は使わないという態度で生活するのがいいと思います。そしてどうしても必要な電気、熱は環境・自然になるべく負荷のかからないように作ったものでまかなっていくということが求められていくと思います。

広域処理に関して

瓦礫の受け入れについて今思っていることを書きました。これは岡崎市に意見としてメールで送ったものです。

岡崎市長様ならびに岡崎市職員様へ
 愛知県が瓦礫の受け入れを積極的にしていく態度を示していますが、現在愛知県内、県外でこの瓦礫の処理に関して非常に激しい議論がなされています。このことについて、いち岡崎市民として私の意見とお願いを述べたいとおもいます。
 今回の大震災で東北地方、特に海岸線付近と福島原発付近は甚大な被害を受けました。被災地では津波地震による多くの瓦礫が出て、復興の妨げとなっているところがあります。復興するにあたって、瓦礫をどう処理するかは非常に大切な問題であるということは自明です。この問題に対し、何が一番良い解決方法かということを熟慮し実行していく必要がありますが、現政府のやっていることは果たして最善の策なのかというと大きな疑問を持ちます。住民の不安と反対・放射能は閉じ込めることが原則・安全性といった諸問題をまるで無視するかのように「広域処理」ありきでやっているように見えます。また、少し前まではほとんどの自治体が受け入れに難色を示していたのが、国がお金を出すと野田首相が表明してから途端に多くの自治体が受け入れを積極的に進めています。これは被災地の復興を願って動いているわけではなく、お金が入ってくるから瓦礫を受け入れるのだ、という態度に他ならないのではないでしょうか?このような国、県を本当に信じて市町村は瓦礫を受け入れていいのでしょうか?
 愛知県では瓦礫受け入れを積極的に進めていますが、多くの市民が不安、反対意見を持っているこのような大切な案件は、広く住民と共に話し合って決めていくことが大切です。そもそも県、市はその県民、市民の安全や健康を守っていくことがその一番大事な役目のひとつです。県民、市民の健康と安全を危険にさらす可能性のある瓦礫を受け入れることになるかもしれないということを自覚した判断をしないといけないと思います。また我々大人は子供たちにこのような責任を持っていると同時に将来の世代に対しても責任を負っています。先ほど環境省の広域処理のお問い合わせ担当に電話をしました。「今あるごみ処理施設のひどい環境汚染の現状を見ていると、非常に不安な想いですが、こういった問題が放射性物質を含んだ瓦礫処理においても起こらないといえるのでしょうか?」という私の問いに、担当の人は「環境省ではそのような質問には答えられない」と言っていました。つまり何処も安全は保障できないのです。(管理型処分場という特別な施設でのみ管理していくので年間10マイクロシーベルトの追加被爆に抑えらるということは言われていました。しかしそれが何らかの欠陥で大量に周辺にばら撒かれる可能性はありますし、地震による施設の崩壊ももちろん可能性としてあると思います。)
 柴田市長が岡崎市のホームページで言われているとおり、岡崎市が「安全で安心な街づくりを進める中核都市として発展し、市民の目線に立った『市民主導型市政』を進めて」行き、「今後も、一層安心して子育て出来る街づくり」をして行くことを心から願っています。
 一部のごみ処理業者にお金が落ち、市民にそのつけが行くという構図はまさに原子力ムラの構図です。このようなことにならないよう岡崎市は県や国に対し毅然とした態度で岡崎市民の側に立ち、市民と共に行動して下さい。こうすれば将来の岡崎市民は必ず皆さんに心から感謝し、尊敬するでしょう。
長くなりましたが、よろしくお願いします。

 

Facebookにガレキ処理に関するグループをつくりました。そちらもご覧ください。http://www.facebook.com/groups/kumattana/