フェアトレードについて

フェアトレードという言葉はよく聞くけど、実際フェアトレードが何を意味するのか詳しく知らない人が多いと思うし、僕もその一人だ。フェアトレードという言葉を調べてみると、“途上国の原料や製品を、適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い生産者たちの暮らしを向上させ、貧困問題の解決をはかることがその目的とする公正な貿易“というのがわかり易い1つの定義と思う。
さてでは何がフェア(公正)なんだろうか?トレード(貿易、交換)がフェア(公正)ということであるかと思うけど、では公正な貿易とは果たして何を指しているのか?どういう問題、不公正があってフェアトレードが必要とされてきているのだろうか?
それは現在の途上国に於ける貧困問題、児童労働などの先進国と比べて悲惨な社会の状態を背景にして、先進国の意識ある自主的に活動する人々によって実際始まったものであると思う。現在の途上国のほとんどが大航海時代以降に列強諸国(現在の先進国)によって植民地化され、歴史的に先進国の商品を作るための資源や原料の供給源とされ、同時に支配国の製品の市場とされた。このように植民地化された国の多くでは支配国に供給するための商品作物を集中的に決まった作物を栽培していた(モノカルチャー)。このようなプランテーションは今でも引き続き途上国に存在し、多くは大量に生産され、途上国の安い人権費から市場で先進国の企業に安く買われているのだ。そこでは賃金がより安く、反効力の弱い子供を働かせたり、大量の農薬の中を何も防御するものを身につけないままで働かされる。農薬の影響や単一生産だから地力は衰えるだろうし、それが森林を切り開き新しい農場を作る動機にもなるだろう。このような商品作物や、資源などの一時産品は途上国で栽培、採掘され安く先進国に売られ、その安く売られたものは先進国の企業によって加工され、付加価値がつけられて(途上国においても)販売される。この様な制度の上で常に富(お金)が先進国に集中していく。
このような現状に対してフェアトレードは何ができるのであろうか?上に書いたフェアトレードの目的“途上国の原料や製品を、適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い生産者たちの暮らしを向上させ、貧困問題の解決をはかること"からすると、途上国のこの様な悲惨な状態を改善するために出来るだけ農作物や商品を高く買い上げ、先進諸国で販売しようということになる。そこでは貧しい人達の生活を改善するためにモノカルチャーによる栽培ではなく多種品目の作物が栽培され、子供には仕事をさせず、大人が仕事をしお金を稼ぐことによって一家を賄い、子供を学校に通わせるように目指していく。そしてその彼らが自分たちの力で今後の彼らの生活を自ら作っていくように変えていくことが可能であろう。この様な改善が行われ貧しさから開放されるのは喜ばしいことだ。
しかしここで私が気になること、疑問に思うことを述べていきたいと思う。先ず第1に、現行の経済システム(市場経済において経済的強者(先進国や大企業)が弱者(債務国である途上国とそこの国民)に対して力を持っている)の上ではいくら途上国の製品を高く買ったからといって、その立場は全く変わらず、引き続き富の集中が起こり、貧富の差が拡大していくのではないか?
そして貨幣経済にどっぷりと組み込むことによって出てくる障害もあると思う。お金がより大きな意味を持つようになり、お金に関する醜い争いが増えていき、さらに社会が混沌とする危険性があるのではないか?
もう一つはフェアトレードの商品を扱わない若しくは、扱えない人達の状況が悪化するのではないか?ということだ。
色々と疑問を挙げたが、私はフェアトレード自体を否定しているのではなく、その可能性は認めている。しかしフェアトレード自体を求めるのではなく、その商品を作っている人達の事を色々な方面から考えることが大切であり、そのためには現行の経済システムの変更が必要であり、その為の世界の人々の価値観を変えていくことが必要と思う。