送電塔の上に風車

 今日はとてもシンプルかつ新しい発電のアイデアを紹介します。送電塔の上に小型の風車を取り付けそのまま電気を送電線に送るというとっても簡単なでも素敵なものです。先日(9月14日)にFree Energy という建築家のヴォルフガング フレイによるグループがこの風車の設置アクションをメディアを呼んで行いました。そこに私も友人とお邪魔してきました。ヴォルフガングさん自ら送電塔にのぼり小型風車を2機設置しました。この小型風車の発電出力は風車1つにつき3〜5kWです。この日に取り付けられた風力発電機は直径3,2mの羽を持つ3,3kWと直径4,2mの羽を持った5,5kWの発電機でした。この発電機の価格は15,000ユーロ(約180万円)ですが、これは手作 業で作っているので高くついてしまうそうです。もしこれが大量生産されるようになれば価格は経済性に見合うものになる見込みです。

 この小型の風車の良いところは、風が弱くても回り電気を発電し、分散され取り付けられた総風力発電機の発電量は安定して生産されます。また送電線に直接つなげるので電気のロスが無く、電気を使う場所で電気を発電できます。ふつう風車を建設すると風車の支柱にかかる費用が総コストの訳6割に達します。でもこの小型風力発電機は既に立っている送電塔の上に設置されるのでこの費用が節約できるのです。短所としては出力が小さいこと、設置するためには送電塔を必要に応じて強化しないといけないこと、長距離の送電ネットワークに電気を送り込む場合、電圧を高圧に変換してからでないといけませんが、これは技術的にまだ問題があります。

 Free Energyの目標は10,000基の送電塔に送電塔1基につき100kWの風力発電機を取り付け合わせて1,000,000kW(1,000メガW)の出力をもった発電装置にしようというものです(100kW×10,000=1,000,000kW)。これは原発1基分の出力1,000メガWに相当します。つまり原発1基分が必要なくなるということです。バーデンブルテンベルク州には約3万基の送電塔があるそうです(ドイツ国内には約30万〜40万基)。

 こんなにシンプルな誰でも思いつくようなアイデアが今まで実践されなかったことに驚きながら、日本でも送電線を持つ地域独占電力会社を動かすか、発送電分離がなされれば実現できるのではないでしょうか?色々な素晴らしいアイデアがまだまだたくさん隠れていると思います。そんないいアイデアがうまく育てていけば原発はもう近いうちに本当に必要なくなるでしょう。

参照:Free Energy(日本語もあり)
http://www.freeenergyweb.eu/jp/start.html