持続可能な社会について

 今回は持続可能な社会について、Our Common Future(邦題;地球の未来を守るために 福武書店)の紹介をしながら見ていこうと思います。
 Our Common Future(通称ブルンラント報告書)は環境と開発に関する世界委員会(通称ブルンラント委員会)が1987年に提出した報告書です。この委員会は日本の提唱によって1983年の国連総会によって採択されて組織された国際委員会で、委員長はノルウェーの当時のブルンラント首相が就いていたので、ブルンラント委員会と呼ばれています。この報告書で、ブルンラント委員会は将来のより豊かでより安全な社会を築くことを目指し、様々な提言をしています。その中で私たちが最近よく耳にする『持続可能な発展』(本書では『持続的開発』と訳してある)という概念を示して、それに向けて具体的な項目ごとに詳しく課題と政策への提言をしています。
 先ず始めに『持続可能な発展』という言葉について考えたいと思います。『持続可能な発展』や『持続可能な開発』という言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか?そしてどうしてそれが必要なのか?どんな背景から生まれてきた概念なのかを考えましょう。持続という言葉の意味は岩波書店広辞苑には「保ち続けること」とあります。何を保ち続けるようにしようというのでしょか?地球?動植物?人類?でしょうか?もちろんこれらは保ち続けるようしなければならない基礎中の基礎です。だから『持続可能な発展』で言っている「持続」する対象はそれ以上のものでしょう。人間の生活の質や人類の豊かな生活がここでの保ち続ける目標だと考えることができます。このような考え方はどのように生まれてきたのでしょうか?それは人間の活動が大きくなりすぎて、つまり科学が急激に発達し、人口の爆発的な増加は地球環境に負荷を与え、地球の自然の再生能力と浄化能力を超えて自然を破壊してきました。このような現代に入ってから起こった状況が人類(地球上の生物)の未来を脅かすものとして認識され始め、2,30年後の自分たちの将来を不安にさせ、そして未来の人類の生活の質を下げるであろうという見通しを持つようになりました。このような背景から『持続可能な発展』という言葉が出てき来たのです。このように見ていくと『持続可能な発展』とか『持続可能な開発』という言葉は「発展」や「開発」を保ち続けようというのが目的ではなく「人類の生活の質」を保ち続けるのが目的であり、そのための開発や発展と考えたほうがいいと思います。(「開発」という言葉は Our Common Future の中で定義されていますが、普通一般的に使われる「開発」という意味ではなく、もっと広い意味で使われています(より良い状態に向かう変革という意味))。
 さてOur Common Future(地球の未来を守るために)はこのような時代背景に書かれたもので、委員(委員長1人、副委員長1人、委員20人)はすべて違う国からの出身者で構成され、半分以上は発展途上国から選出されています。ブルンラント委員長が導入部分(ブルンラント委員長の諸言)で、“個人の幸福がすべての環境及び開発政策の最高の目標だ”と書いていて、この報告書は私たち一人一人の市民に届けたいとしています。そしてこの21人の委員との仕事を通し、“学びあいとわかちあいを通して見通しは明るいという確信を持つに至りました”と言っています。
 長くなりそうなので今日はここまでにします。次回はOur Common Futureで使っている『持続可能な発展』とは何か?そして具体的なところを見ていこうと思います。
 こちらから私がまとめたPDFフャイルが見ることが出来ます。