バイオエネルギー村

 ここではドイツの農村地域における、再生可能エネルギー発電の取り組みを紹介します。先ずBioenergieDorf(ビオエネルギードルフ)とは、地域のバイオマスを活用した電力、(暖房用などの)熱の自給自足を目指した村のことです。ドイツでは2006年に誕生したJünde(ユンデ)村を皮切りに、現在では50を超える自治体がビオエネルギードルフになっています。その中でもフライブルクのあるバーデン・ブルテンベルグ州は一番多く、Mauenheim(マウエンハイム)を初めに17の自治体が既にバイオエネルギー村になっていて、さらに10もの自治体が現在この称号への道のりを歩んでいます(ドイツ全体ではこの他に4つの自治体がバイオエネルギー村を現在目指しています)。
 バイオマスとは生物量ともいわれ、エネルギーの分野では生物由来の木材や植物、家畜の排せつ物などの資源を指します。他の太陽光や風力などの再生可能エネルギーと比べ、バイオマスは太陽エネルギーを蓄えることができ、安定したエネルギー供給に有効です。Göttingenバイオエネルギー村研究所によると、コージェネ発電によって発電時の排熱を有効活用すること、村のエネルギー政策を住民参加を通して決定していくことによって地域への想いと共同体の絆を強くすること、さらに地域経済の活性化や環境にやさしいエネルギーを利用することなどを目標にしています。
 日本でも自分の地域のエネルギーは自分の地域からの資源を用いて自給自足することは夢ではないと思います。しかし日本の食料自給率は非常に低いので、農作物の余剰生産をエネルギーにまわすことは無理でしょう。他方日本の農村地帯には最近手入れがされなくなった里山林業における間伐材、食料品店や家庭から出る多量の生ごみがあり、これらがバイオマスとしてエネルギー原料となりうると思います。斜面のきつい日本の山からの林業残渣を活用するためには、作業用山道を作る必要がある、などといった問題はありますが、太陽光を利用した発電と温水、風力発電、地中熱利用など様々な可能性と一緒に模索することができると思います。その他にも海外からの食料品の輸入が多過ぎ、自給率が低いことから、何か起こった時(海外から輸入できなくなった時)には国民の食糧確保がとても大きな問題になることや、これら海外からの多量の食料品から出る生ごみが日本の国土を過剰に富栄養化し、輸入国の地から栄養を奪っています。こういった問題も総合的に考えていく必要ももちろんあります。
 それぞれの地域に育った文化のように、その地域に合った方法で、住民が主体となって動くことがキーポイントになっていくでしょう。


参照
Institut für Bioenergiedörfer Göttingen の資料(日本語)
Wege zum Bioenergiedorf(Bundesministerium für Ernährung, Landwirtschaft und Verbraucherschutz のサイトから(ドイツ語))