エコ電力へ切り替え(脱原発へ)

 エコ電力とは再生可能エネルギーや自然に優しいコージェネ発電などからの電力のことを言います。つまり環境に負荷のかかる原発化石燃料によって発電された電力が入いっていない電力のことです。ドイツでは自分の家の電力配給会社を選ぶことが出来ます。要するに脱原発に賛成する人はこのエコ電力を売る電力配給会社からの電力を買えるのです。ヨーロッパ(EU)では電力の自由化が1996年(2003年改訂)に決まり、発電部門と送・配電部門の分離(送電系統運用者の別会社化など)や電力の小売市場の自由化が段階的になされたのです。日本ではこのように一般消費者が自分で電力を自由に選択するということはできません。電力の自由化がドイツと比べまだ範囲が限られていて、地域独占している電力会社が発電、送電、配電とすべてにわたって牛耳っているからです。ですから一般の私たちは自分の家の屋根に太陽光パネルを設置したりして発電しない限り、原発を持っている地域の電力会社からしか電力を買えないということです 。ではいったい脱原発を推進したい一般消費者はどうしたらいいのでしょうか?電力供給会社を自分で選べないのであれば、出来るように電力の完全自由化の法整備を政府に対して求めていくことが必要です。このような法律が出来るまでは太陽光パネルを設置して自分で発電して自分で消費することも考えられます。または、再生可能エネルギーの分野、例えば風力や太陽光パネル、バイオガスなどのプロジェクトに投資することも出来ると思います。その他にも脱原発のデモに参加したり、政治家に自分の意見をメールや手紙などで伝えることも有効かもしれません。先日ドイツに視察に来た徳島県上勝町では電力会社を設立して再生可能エネルギーで町内の電力を自給自足(発電、託送、町民に売電)しようという試みがなされています。 このような自治体の活動を支援する、立ち上げるといったことも可能でしょう。
 現在海外に住んでいる多くの日本人も日本の脱原発に何かしら貢献したいと考えていることでしょう。日本の脱原発への道には直接的な方法ではありませんが、自分が今住んでいる国の原発停止はいずれ日本の脱原発にも良い影響を及ぼすはずです。ここフライブルクは約25km離れた所にヘッセンハイムというフランス領土にある原発を持っています。この原発はフランスで1番古い原発で、しかも最近運転期間の延長が許可されました。この原発が福島のような事故を起こせばフライブルクはだめでしょう。でも事故を起こさなくても原発は子供にとっては十分に危険な低線量の放射性物質を出し続けています。ドイツでは2022年までに原発を停止させることが決まりましたが、電力の約77%を原発に頼っているフランスのエネルギー政策を国外から変えるのとても大変でしょう。そして大きな利権が絡んでいる原発を止めるには、これらの利権とお金に目がくらんでいる政治家や産業界のリーダー達にそのまま任せていたのではほぼ無理でしょう。私たち市民が声を大にして、そして態度で示していかない限り変わっていきません。さて今ドイツに住んでいる我々は幸運なことに電力供給会社が選べます。例えば前回の新聞でも紹介したシェーナウ電力会社やグリーンピースエネルギーなどがドイツで一般家庭にもエコ電力を供給しています。このような信頼できるエコ電力を多くの市民が買うことによって、私たち市民が原発を欲していないということを解り易く表明できます。このような地道な行動と実績が脱原発の流れを少しずつですが着実に作り上げていくのだと思います。これはフランスのヘッセンハイム原発にも影響するでしょう。ドイツ市民の大半が反原発でその声と意思が非常に大きければ、フランスにも広がっていくでしょうし、ドイツに隣接する原発についてフランス政府は見直すはずです。
 私たちは自分自身の為そして自分の子供と家族の為に、さらには同じ社会に住む全ての人の為に行動しなくてはいけないと思います。自分たちの生活や安全など、大切な事柄について誰かに任せるのではなく、自分で考えて、感じたことを責任を持って自分たちで決めていかないといけないのではないでしょうか?そのためには自分たちが目指す生活がどんなものなのか、何が大切で何がそうでないのかという根本的なことを問い直すことが必要です。お金や利権が大切なのであれば原発がもしなくなったとしても、他の理不尽で危険な代物が市民生活を脅かし続けることになるでしょう。そうではなく私たちの社会をもっと魅力ある豊かなものにしていくにはこのような価値観を変えていくことが問題の根本的な解決につながっていくことと思います。市民一人一人が自分の家族や地域の幸せを考えて一歩ずつ進んでいくことこそが、脱原発そして豊かな生活を支えることになります。(戦後から今まで日本は経済の発展ばかりを追い続け、それまで大切にされてきた日本独自の文化や感覚がないがしろにされて経済的な裕福さを求めすぎてきました。この考え方が原発問題を含めた今の日本の社会問題の根底にあるように思います。この経済最優先の考え方を見直すべき時なのです。さてそれでは何が大切なのか?それは色々な場で議論する中で構築していくことが必要だと思います。私の意見を述べますと、まず「豊かな地域社会と環境とその中の個人の幸せ」が一番中心になるべきものだと思います。個人の幸せとその人が住んでいる社会とは非常に強いつながりがあるので、まず自分がもしくは自分の家族が幸せに暮らしたいというのであれば、その社会の在り方を良くしていく必要があります。近所に住む人との素敵な関係は個人の生活も豊かにします。このような人間関係、つまり信頼や思いやり、共感や団結といったものが私たちの社会の基本に大切なものだと思います。そして私たち人間は自然とのつながりの中でこそ人間らしく生きることができ、人間社会は自然の生態系の中でのみ活動していくことが出来るので、自然の中で他の動植物や物質と調和して生きることが大変重要です。)
 一歩ずつ脱原発を目指すために私たちエコフラはエコ電力を推進したいと思います。そのためにドイツ在住の日本人にエコ電力供給会社4社(EWS, Green Peace Energy, Lichtblick, Naturstrom)を紹介し、契約変更を勧めていきたいと思っています。契約の変更はごく簡単で、(EWSの場合、)今までの契約していた電力会社からのいちばん最近の請求書、電力メーターの現在の数値が必要で、あとはインターネットからダウンロードできる契約書に記入してメールか郵送で送ればいいだけです。こんな簡単なことをなんで今までしなかったのかということですが、そもそも知らなかったとか、めんどくさいんだろうなという理由で変更しなかったのだろうと想像します。その変更のお手伝いをしようということです。これが豊かな社会に続く小さいですが、確実な一歩になっていくことを望んでいます。


参照
Atomausstieg selber machen(脱原発は自分で) (ドイツ語)
http://www.atomausstieg-selber-machen.de/startseite.html
電力自由化の成果と課題
http://www.atomausstieg-selber-machen.de/startseite.html