ユネスコエコパーク(生物圏保護区)について

ユネスコエコパーク、生物圏保護区、Biosphere Reserve
 みなさんはユネスコエコパークもしくは生物圏保護区という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これはユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)が認定する広い面積を持つ地域の名前です。このユネスコエコパークは最近まで日本語では生物圏保護区とか生物圏保存地域などと呼ばれていましたが、知名度がとても低くいことから2010年にユネスコエコパークという通称が付けられました。ちなみに英語ではBiosphere Reserve、ドイツ語ではBiosphaerenreservatといいます。このユネスコエコパークと他の自然保護区や自然公園との大きな違いは、認定された地域の中に住宅や会社、工場などもあることです。そしてこのエコパークは3つの区分に分けられるのが大きな特長です。その3つとは核心ゾーン、緩衝ゾーン、移行ゾーンと呼ばれています。住宅地や工場は普通移行ゾーンに分類され、持続可能な地域社会を目指した社会活動が推進されます。人間の普段の活動や一般的な農業などの経済活動が目指すべき『持続可能な社会』の中で促進されるのです(ユネスコの基準には移行ゾーンの制限や禁止は無く、むしろ地域の持続可能な経済発展が一つの目的に挙げられている。)。またこのユネスコエコパークは持続可能な社会のモデル地域として、私たちが今目指している「人が自然と調和する社会」への道を示してくれることが望まれています。
 私は先月一ヵ月間ドイツにあるこのコエコパークKarstlandschaft Suedharzドイツ国内では2009年に州から指定されていますが、ユネスコの認定はまだ)で研修をしてきました。ユネスコエコパークの活動がとても活発なドイツで、そしてこのエコパークがちょうどユネスコに登録のための申請書類を準備している期間に研修できとても幸いでした。私が見てきたことは主に環境教育の現場と地域住民との共同企画、野生動物の調査、市民団体とのコミュニケーションなどです。このエコパークの管理局の人達はとても親切で、ここで知り合った若い研修生達は生き生きとしていました。局長や部局長の話も聞けてドイツの活発なユネスコエコパークがどういったものか、どういった問題を抱えているかなどが現場で感じられて良かったです。Karstlandschaft Suedharz (カルスト地形 南部ハルツ)はドイツのほぼ真ん中に位置し、ザクセンアンハルト州の南西部のニーダーザクセン州とチューリンゲン州の州境にあるBiosphaerenreservatです。この地域にはロマネスク街道(Strasse der Romanisk)が走り、ストルベルク(Stolberg(Harz))という歴史のある木造家が立ち並ぶ素敵な街があり、日本人観光客もたくさん訪れます。この地域はその名前の通りカルスト地形で変化に富んだ豊かな風景と動物たちの棲家を提供しています。もう一つ特筆すべきことはこの地域は果樹と牧草地が一体となった土地利用が昔からされていて、桜やリンゴ、プラムなどの木がまばらに植えられた独特の景観が特徴的です。花が咲く春にはえもいわれぬような綺麗な景色が楽しめるそうです。
 次回からはもう少し詳しくユネスコエコパークの概要についてみていきたいと思います。