原発と子供の癌発症率

 今回は2007の12月に報告されたドイツの幼児白血病原発の関連について書こうと思います。「原発の近くに住んでいる5歳未満の子供の癌の発症率が他と比べて高い」という研究結果が報告されました。この報告書はKikk-Studie(Epidemiologische Studie zu Krebs für Kinder in der Umgebung von Kernkraftwerken:原発付近における子供の癌発症に関する疫学的研究)と呼ばれ、ドイツ環境・自然・放射線保護省の下にある連邦放射線防護庁がドイツ小児がん登録機関というところに委託して行われたものです。
 この調査は2003年から2007年までの間で行われ、1980年1月1日から2003年12月31日までの期間内の16原発立地地点(22基の原子力発電所を含む)の周辺が対象となっています。この調査の実施と結果は何重にも検査されていて、この結果の正確性と総合的な質が信頼出来るものであることを裏づけています。「原発から居住地の距離と5歳未満の幼児の癌発症の危険性との関連が観測された。白血病の発症の危険性は、原発からの距離が5km以内の範囲で、その他の地域と比べ2倍以上(2.19)であった。10km以内の範囲では1.33倍である。」というのがこの研究の成果です。
 この結果は非常に恐ろしいものだと思います。特に小さなお子さんをお持ちの夫婦、家族にはとても不安なものでしょう。”放射線”と癌の関係まではしっかりとした証拠が無かったものの(通常時の計測されている放射線量が原発付近でも人体に影響が出ると言われる値より低いから、直接”放射線”と病気が関連したものであるということが確認出来ていません。)、原発と子供の病気との関係はしっかりとした形で表されたものであると思います。今回の東京電力福島原発事故のような原発自体の危険性を始め、このような通常の運転している時の危険性についても今後市民の一人一人が考えていく必要があるはずです。このような危険性がある原発を本当に私たち市民の一人一人が必要としているのかを考え、国や地方自治体に対し、自ら主張していくことが今求められています。


参照:http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=619

Kikk-Studie(ドイツ語)